浮気を全力で応援してみた。

sponsor


「浮気の1つぐらいでイチイチうるしいんじゃ!」

「浮気の1つくらいって…あんた、本気でそれゆうてんの?最低やなッッ!!」

「誰に向かって口聞いてんじゃ!!」

ベシンッッ!!…

 

大きな叫び声と共に、旦那である玉男(たまお)は嫁の髪の毛を掴み、もう片方の手で顔を殴った。

「気分悪い。呑み直しじゃッッ!!」

そう言い捨て、玉男は悪びれることもなく、タンスの引き出しにあるお金を乱暴につかんでは、家から出て行くのであった。

殴られた顔がヒリヒリとする。まるで「これは現実だ」と言わんばかりに。悲しさなのか、悔しさなのかもわからない涙が一筋、つーっと頬を流れ、部屋の床に落ち、弾けた。

「浮気の1つくらいって…」

誰もいない部屋で1人、おしり子はそう呟いた。

 

ピリリリリッ。ピリリリリッ。

殴られた時に倒れこんだ場所から、どうしていいかもわからず、ただぼうぜんと横たわったまま1時間ほどたった頃、携帯が鳴っていることにおしり子は気付く。

重い体を無理矢理に起こし、リビングにある机へと向かう。机の上でやかましく鳴っているスマホには「乳子(ちちこ)」と書かれていた。

「…もしもし」

「あ、おしり子!?やっと電話でたぁー!何回もかけてるのにー!」

電話はずっと鳴っていたらしい。

「…どうしたん?」おしり子は電話口の向こうにいる乳子にたずねた。

「いま会社のみんなで呑んでるんやけどおしり子もおいでやー!どうせ旦那は浮気でもしてて家におらへんのやろー!?笑」

図星というかなんというか、冗談にしてはタイムリーすぎるコトバに、おしり子は思わず笑いが込み上げた。この感情には自分でも少し驚いたが、そんなことはどうでもいいと瞬時に頭でつぶやく。今は、一人でいるより、素直に誰かといたい気分であると思ったからだ。

「…うん。わかった!」

場所を聞き、電話を切ったおしり子は洗面台に向かう。かすかに腫れ、少し傷跡が残る頬。旦那の浮気・暴力という事実がおしり子の頭に浮かび上がるのを隠すように、傷跡を化粧でごまかした。

 

家から二駅ほど離れた場所にある居酒屋に着いたおしり子の前には、すでにお会計を済ませ、店を出てくる同僚の姿があった。

「あ、おしり子!遅いー!次いくでー!!」

千鳥足で今にも転びそうなほど酔っぱらっている乳子はそう告げる。

「乳子さん!もう今日はダメですって!相当酔ってますもん。送っていきますから今日はもう帰りましょ!?ね!?」

もう1人の同僚、ウナジは乳子の肩に首を入れ、大きめの声で喋った。

「えぇ~おしり子もきたところやのに~」

「また今度呑めばいいじゃないですか!今日は帰りましょ!」

「えぇ~」

おしり子から見ても乳子はすでにベロベロだった。こんな状態でまだ飲めるはずはない。

「乳子、電話ありがと!でも今日はもう辞めとこ!今度またゆっくり飲もうよ!」

呼ばれたおしり子としては残念なところがあるが、仕方がない。おしり子は車道にめがけ手をあげた。運がよく、ものの数秒で1台のタクシーを止めることに成功した。

「乳子!今日はもう帰り!」

「おしり子ごめんねぇ。じゃあ今日は帰りますぅ~」

「全然良いよ!じゃあ、またね!」

酔った乳子をタクシーに詰め込み、何も悪くはないウナジが申し訳なさそうに一言「ごめん!」と言い残し、帰っていった。

寒空の中、また一人になってしまったおしり子に、冷たいかぜ吹き抜けた。

泣かない、泣くもんか!というおしり子の葛藤とは裏腹に、目は涙で滲みだしたのだった。

 

「おーしーりーこーさん!お疲れっす!」

後ろから声をかけて来たのは会社の後輩である金太(きんた)くんだった。どうやら乳子とウナジの2人ではなく、3人で呑んでいたみたいだ。

「お、お疲れ!3人で呑んでたんやね!知らんかったからびっくりしたわ!」

「えぇ、乳子さんから聞いてなかったんですかー!?もう酷いなぁ乳子さんは。ところで先輩、今来たところで帰るのもあれでしょ!?ちょっと行きましょうよ!ぼく、いいとこ知ってますから!」

金太と呑むことははじめてではないし、むしろよくいく。ただ、二人でいったことはない。というのも、私には旦那がいる。にもかかわらず、見た目もよく、いつも優しく無邪気に笑いかけてくれる金太に少なからず好意を寄せている自分がいたからだ。好きになってしまってはいけないという怖さが、行くことを一旦拒んだ。

だが、口に出た言葉はそれとは真逆のものだった。

「そだね!じゃあ少しだけ行こっか!」

一人でいたくないという思いが今は1番。呑みにいくことを少なからずためらいはしたが、今の乳子にそれを止めるほどのブレーキ材料があるはずもなかった。

「そうこなくっちゃ!じゃ、行きましょう!!」

 

 

金太に連れられ入ったお店はホントにオシャレでご飯もおいしい。悲しい現実に打たれたことがさらに背中を強く押してくることもあり、おしり子はすぐに酔いがまわりだした。

赤い頬を見る金太の目には、隠したはずの傷跡が目に止まった。

「おしり子さん、顔どうしたんです?ケガしてるじゃないですか?」

戸惑ったおしり子を見て、金太はすぐに事情を悟った。というのも、金太はおしり子の旦那が暴力を振るっていることを、おしり子の同僚にそれとなく聞かされたことがあったからだ。

「旦那さんですか?」

おしり子はまた一段と驚いた表情をみせたが、すぐに落ち着きを取り戻した。きっと、同僚に相談していたことが耳にはいったのだろうとおしり子も悟ったからだ。

「…実は、今日ね、旦那が浮気してるのを見つけてしまって。それを問いただしたら向こうも感情的になっちゃってね。その成り行きで少し叩かれてしもたねん。」

金太の顔が、怒りで一気に赤く染まっていく。そう、金太は金太で、おしり子に好意を抱いていたからだ。しかし、結婚していることがわかり、その気持ちを表に出すことはなかった。だが今は状況が違う。旦那の浮気、暴力を耳にした金太の思いはもはや顔には隠せないほどのものになっていた。

「ごめんね。こんな話しちゃって。」

金太は乳子のカラ元気な笑顔に怒りを抑えられ、何も言い返すことができなかった。

「さ、もっと呑も!ね!」

「そ、そうですね!呑みましょうか!」

自身の明るい装いとは裏腹に、おしり子の旦那への怒り、何も言えなかった自分への怒りが相まり、机の下で、拳を強く握る金太であった。

 

 

電車で帰るおしり子を金太は駅のホームまで送る。

外はすっかり人通りも少なくなっていた。駅につき、2人は立ち止まる。

「ごめんね!今日はあんな話しちゃって。でも楽しかった!ありがとう!」

「おしり子さん、大丈夫ですか?家に帰って」

「ん〜大丈夫やよ。それに、どんなけダンナが最低でも、私にはあそこしか帰る場所ないし…」

2人の間に沈黙が流れた。

「じゃぁ、帰るね!バイバイ!金太くん!」

そう言い残し、おしり子は切符売り場に向かう。この場からホントは離れたくないのか、帰ることが嫌なのか、少しだけ、また目が涙で滲む。

切符売り場につき、サイフを取り出そうとカバンに手をいれるおしり子は、現実を思い出す。

帰るとまた大声で怒鳴られるのではないか。手を挙げられるのではないか。カバンから出てきたおしり子の手は小刻みに震えていた。

「おしり子さん!」

震えた手を強めに掴んだのは金太だった。

「おしり子さん、ぼく、おしり子さんのことが好きです。結婚してるって聞いたときは、諦めなきゃと思いましたが。でも、今のおしり子さんを見てると思いました。ぼくの方が必ずおしり子さんを幸せにできる。いや、してみせます!」

金太はおしり子の手首を掴んだまま続ける。

「何より、今おしり子さんをダンナさんのいる家に帰すことはできません。また殴られるかもしれないんですよ?」

金太が玉男を強く罵る。

「ぼくはそんなの黙って見過ごすことはできない。おしりこさん、今日だけでもいい。とりあえず、今日だけは、ずっとおしりこさんと一緒にいさせてください!」

振り解こうと思えば振り解けた掴まれた手を、おしり子は振り解けなかった。

怖さ、優しさ、悲しさ、嬉しさ、愛しさ。

コトバでは言い表すことのできない感情に、おしり子は我慢していたものが涙となり溢れ出た。

そんなおしり子を金太は引き寄せ、強く抱きしめる。

おしり子が今晩、ダンナのいる我が家に帰ることはなかった。

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

どうも!

読書ブロガーのミナミ(@baka_doku)です。

皆さん、茶番にお付き合いいただき、ありがとうございます!笑

ですが、ここからが今回の記事の本題です。

もう少し、お付き合い下さい!

浮気を全力で応援する!

あまり文字数を使って永遠とストーリーチックなモノを書くのも今回の本題からはずれてしまうので、展開が多少強引なところもありましたが、そこは優しく許してやって下さい。

今回、ここまでしてぼくは何を言いたかったのかというと、批判どころか応援してしまう浮気や不倫も世の中にはあるよね。ってこと。

浮気を全て「悪」と決めつけるのはどうか、ということをいいたっかのだ。

今回のケースで言えば、最終的におしり子は金太と夜を共にしたので世間的には「浮気した女」ということになる。

だけど、ぼくはこんなおしり子を全否定することが正しいとは、どうしても思えません。

なぜか。

おしり子が浮気にはしった背景には「ダンナの浮気・暴力・金遣いの荒さ」という理由がある。

こんなダンナなら、嫁が浮気するのも仕方ないよね。ってのがぼくの意見。むしろ、金太がおしり子を絶対に幸せにするという覚悟があるなら、応援すらしちゃう。

おしり子の人生は金太にかかってる。今ここでお前がしっかりしないと、誰がおしり子を幸せにしてやれるんだ!と金太に喝をいれてやりたいくらいです。

だって、あんな旦那と寄り添って、今後幸せになれると思います?

ぼくはそう思えないですねぇ。

想像力の欠如

まあ、こんな浮気は中々のレアケースだってことぐらいぼくにもわかってます。大半は、批判を免れることができないような浮気や不倫が殆どでしょう。

でも、もしかしたらテレビで浮気をした!と避難されている人たちにも、こういった何らかの事情があって浮気という行為にはしってしまったのかもしれない。

そう考えることも少なからずできる。それに、そういったことが事実である可能性もゼロではないですよね。

にもかかわらず「浮気をした」という、上辺の事象だけをすくいとり、ヒトを非難するのはおかしくないですか?

そういったヒトに言いたい。

「想像力がたりないよ」と。

これは、イジメにも共通する部分があると思っているので、強く言いたいですね。

まあ、イジメはいじめられることを想像してしまったからイジメにハシッたという見方もできますが、いずれにせよその先を想像することができていないので、同じことですよね。

浮気なんてモノは、実際のところ当事者にしか見えていないことが多い。それどころか、当事者ですらしっかりと見えていない事実があることもある。

簡単に割って入れるような問題ではない。

相手の立場に立ち、想像力を働かせばそう思わないでしょうか?

大切だと思っているパートナーの気持ちを踏みにじるような浮気はもちろん悪だと思いますが、何の事情も知らないのに否定を繰り返す「想像力の欠如」も悪になりうる。

場合によっては、ヒトをただ単に傷つける暴力(イジメ)とかわらない。

ぼくはそう思います。

以上、「浮気を全力で応援してみた」のコーナーでした!

 

まあ、あれです。最後にちゃぶ台をひっくり返すようでもうしわけないけども、僕としては、そもそもヒトの浮気にあれこれいう暇があるのなら、もっと他にやりたいことをした方が楽しいのに!ってことが、1番思うところですけどね!

 

 

 

 

 

sponsor








ブログ感想頂けると嬉しいです!レターポットはこちら⇩

フォローもよろしくです⇩

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください

ABOUTこの記事をかいた人

読書感想を主に書いてます。 元ニート×ギャンブラー×無職で結婚した男がゼロから這い上がるべく、日々学んでいます。 【座右の銘】 言いたいことも言えない こんな世の中はポイズン。