優しさとエゴは紙一重。【コンビニ人間/村田沙耶香】

 

 

一般的な生き方とは何なのか?

たまたま生まれ落ちた家庭の父と母がともに健全で、順調に年を重ねていくこと。

学生時代は何人かの友達をつくり、すこしの恋愛をたしなみ泣き笑いすること。

大学を卒業してからはサラリーマンになり、適齢期がくれば人生のパートナーを見つけ、子どもを授かり、育てる。

こんな生き方を、ひとは「一般的な生き方」と言っているような気がぼくにはする。

実際、簡単に書いたものだけど、自分でもそんなとこだろうと感じてる。

だから、ここからはそう決めつけて話をすすめていくことにする。

 

わかってもらえるとおもうが、ぼくはこの生き方を否定している訳ではない。

ただ、このような生き方、このような生き方に近しい生き方から外れると、何人かのひとは、自分のことでもないのに、まるで自分のことのように強く反応する。

そこがぼくにとって、とても不思議だなと。

 

  • いいおとなが定職にもつかないなんてどうかしてる。
  • 30代、40代で結婚はおろか付き合ってる人もいないなんてやばくない?
  • あの子、引きこもりなんだって。

 

たぶん、日本で生きていればだれでも一度ぐらいは聞いたことがあるセリフではないか。

このようなセリフに対し、別段こころにひっかかるものは何もない、というヒトがこの世にはいる。

むしろ、世間一般からすればこれが正常な思考なのかもしれない。

 

ぼくはこの地点でもはや理解不能なのだが(なにが本当にまずいのかを説明することがぼくにはできないから)

さらに分からないのが、この考えを再適切な助言だと信じ「君のために言ってるんだ!」と他人のことを勝手に心配してはとても強力に干渉する人がいることだ。

 

そういったヒトの何人かは、それが「優しさ」だと言う。

そういったヒトの何人かは、それが「愛情」だと言う。

 

本当にそうなのだろうか。

 

対象となる誰かが望んでいなくても、心配することは正しい行為なのか。

対象となる誰かが望んでいなくても、一般的な生き方と言われている人生を送らなければならないのか。

そもそも先で述べたようなセリフに対し、発信者側の頭には、それがなぜ正解なのかという明確な解があるのだろうか。

 

本書「コンビニ人間」の主人公、古倉恵子(35歳くらい)は、コンビニでバイトしているときだけが生を感じれるという感性の持ち主だ。

在庫管理や品出し業務が完璧なのはもちろん、睡眠時間や体調はバイトのシフトを何よりも優先して自分を管理する。

恋人はおろか恋愛感情というものも持ち合わせていなく、あるのはコンビニに対する深い想い。

まさに、偏愛といえるほどコンビニを愛している女性の物語だ。

そんな彼女に多くのヒトは「何でそんな生き方をしているの?」と感じてしまう。

むろん、僕もそう感じた。

しかし、興味こそあれど、そこに嘲笑や異常なひとだといった思いは一切ない。

作品のなかには、それをあざ笑う人たちがいた。彼女を異常者という種類に分別し、心配している人がいた。

自分のことを通常者だと思っている世間から見ても通常者の何人かが、通常こそが正義だといわんばかりに。

 

生き方なんてひとそれぞれ。

確かに、昔に比べるとその考え方は世に浸透してきたのかもしれない。

十人十色。百人百様。千差万別

このような個性をうたった言葉もたくさん存在する。

しかし、実際のところ、中身はあまり変化していないのかもしれない。

特に、常識や世間という枠組みを信じて疑わないひとたちの中にいる何人かは、

それが誰かを傷つけることになっても、差別することになっても平気でその矛を振りかざす。

 

これを暴力と感じてしまうぼくは、通常・異常、どちら側の人間なのだろう。

 

はじめにも言ったが、ぼくは決して、ぼくが通常だと決めつけている生き方を否定している訳ではない。

むしろ、それが自分のなかで正しいのなら、こころから素敵な生き方だとおもう。

しかし、それを盾にひとを批判したり、自分の生き方でしか図れていないのにもかかわらず勝手に誰かを心配しては正そうとする行為は、

対象者からすれば迷惑この上ない愚の骨頂にもなりえる、ということは無きにしも非ずではないだろうか、

と、ぼくみたいな人間はおもってしまう。

 

心配という優しさは、ときに自分のエゴを押し付けているだけの場合がある。

 

生き方なんていうデリケートなモノを議題にするなら特にだとおもう。

そして、自分を通常者だと思っている人ほど、そのことを理解していないと感じるのは、きっと、ぼくだけではない、はず。

 

そのことをふまえると、どちらが異常な行為をしているのか。

本質は、世間がおもうまったくの真逆なのかもしれない、

と、深く考えさせられるとても面白い著書、コンビニ人間を読んだはなしでした。

 

 

 

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読書感想を主に書いてます。 元ニート×ギャンブラー×無職で結婚した男がゼロから這い上がるべく、日々学んでいます。 【座右の銘】 言いたいことも言えない こんな世の中はポイズン。