美に死ぬか、戦うか。【カエルの楽園/百田尚樹】

 

 

ルールはルールを守るためにあるのではなく、人を守るためにある。では、そのルールではもう人が守れないとしたら、いったいお前はどうする?

本書は、そんなことをソクラテスというカエルを通して考えさせられる、とても読み味の深い物語でした。

 

 

 

カエルの楽園あらすじ

ある日、ソクラテスというアマガエルがすむ国に、ダルマガエルがやってきました。

ダルマガエルはアマガエルをつぎつぎに食べてしまい、ソクラテスのすむ国は地獄と化しました。

なかまがたくさん殺されるなか、ソクラテスは国をすてる決断をし、つぎなる安寧の地をもとめ旅にでました。

ナパージュという国を見つけました。

そこで目にしたものは、いままで見てきたものとは真逆の、信じがたい光景でした。

子どものオタマジャクシたちはのびのびと水のなかを泳ぎ、女のツチガエルは綺麗なこえをひびかせ歌い合う。食べものも、きれいな水もたくさんある。

まさにカエルにとっての楽園のような場所だったのです。

なぜこのような楽園をつくることができたのか、ソクラテスは町のカエルたちに聞いてみました。

すると、町のカエルはこう答えました。

私たちは三戒によって守られているからです。

三戒とは、「カエルを信じろ」「カエルと争うな」「争うための力を持つな」だと、町のツチガエルはおしえてくれました。

過酷な旅をつづけてきたソクラテスは、やっと平穏な暮らしが手に入ると、こころから喜びました。

そんな日もつかの間、ソクラテスは町はずれにある崖の下を見て考えを改めました。

崖の下にある島のように見えるもの。なんと、それは大量のウシガエルだったのです。

ウシガエルはアマガエルやツチガエルとは比べ物にならないほど大きいし、アマガエルやツチガエルを食べることだってできるのがウシカエルなのです。

ソクラテスは、祖国を襲われたことをおもいだしあたまを抱えましたが、ここには三戒があるから大丈夫だとナパージュのカエルになだめられました。

そのことばにソクラテスは少しの安堵と消し切ることのできない不安を抱きました。

本書はその不安が、見事に的中してしまう物語です。

 

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カエルの楽園
感想・書評

ナパージュとは日本のことをさしていて、(JAPANを逆から読むとそうなる、と、どこかのブログに書いていた)

ウシガエルたちは中国を指し、そのほかのカエルも日本にかんけいの深い国のひとたちで例えられています。

そして、「三戒」とは、日本における憲法第9条を表すもの。この憲法第9条について、お前たちはどう思うのかという問いが、本書の最も伝えたいことだ、と個人的には解釈しています。

 

平和憲法とも言われる第9条。

ぼくは本書を読むまでその憲法について深く考えようともしなかった、というのが正直なところ。

しかし、それではダメだと率直に思いました。

だって、自国の問題なのだから。そして、それらはこれからを生きる子どもたちの未来に直結するのだから。

そのことを何も理解していなかったというのが、本書を読んでまず感じたことです。

簡単に答えの出る問題ではないけど、人任せにする問題でもないなと。

 

ネタバレになるのであまり言いたくはないですが、ネパージュの国は、最終的に滅びます。

その姿と日本を重ね合わせてみると、眠れなくなるほど恐ろしい感情が胸を締める。それが現実にならないとは、誰も言い切れないのですから。

 

憲法第9条があるから、日本は戦後から今までを平和に暮らせてきた。確かにそうなのかもしれない。しかし、それだけではないだろうし、少なからずほかの要因があることも確かだ。

そして、これからはその憲法では補いきれない時代になるのかもしれない。もしかすると、すでにもうなっているのかもしれない。

であるなら、ぼくたちは何を選択するべきなのかを本気で考えなければならない。

そうおもうと、そのことについて考えるためにまず憲法第9条とはどんな憲法なのか、日本情勢の今はどうなっているのかを知らないとな、とうのが本書を読んでおもった個人的な感想です。

 

少なくとも、日本の未来を傍観することが、ぼくたちの今やるべきことではない。

そんなことを強く感じさせられたのが、カエルの楽園でした。

 

おわりに。

カエルがカエルにやさしくするのは当たり前じゃないか。

ナパージュの国に住むカエルが口にしたこのコトバには、日本人の多くがもつ気品性というか、優しいお国柄のようなものがでているとぼくは感じた。

ひとがひとに優しくする理由。それは、相手がひとだからでいいのではないか。

そんなニュアンスを含むこのコトバには、日本人がふるくからもっているのであろう美しさを感じざるを得なかった。

一方で、美でひとは守れないのでは?という感情も同時に湧き上がった。

 

もし日本が危機に直面したとき、自分たちの国を守ろうと戦うことを選ぶのか。それとも、滅びることも覚悟して美を選ぶのか。

究極ではあるけれど、そんなことも考えないといけない。それが、いまの時代なのかもしれないなと思いました。

 

ルールはルールを守るためにあるのではなく、人を守るためにある。では、そのルールではもう人が守れないとしたら、いったいお前はどうする?

本書は、そんなことをソクラテスというカエルを通して考えさせられる、とても読み味の深い物語でした。

 

 

 

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