本ができるということを、ぼくは理解していなかった。【本のエンドロール/安藤祐介・読書感想/書評】

 

 

本屋は大人のおもちゃ屋だ。

少年が陳列棚にならぶプラレールをみるとワクワクが抑えきれなくなるように、本屋さんでは、大人が子どものようにワクワクしている。

もちろん、そんな気持ちは悟らせまいと、ぼくたち大人は表面上、涼しい顔をしているのだけど。

そんな風に、こころと表情を反比例させながら本屋さんをふらついていると、ある平置きされていた本に目を奪われた。

そこには、著者は安藤祐介。タイトルは「本のエンドロール」と書かれていた。

 

 

本が作られる背景にある壮大なストーリー

本書は、作家さんから原稿をもらい、そこからいっさつの本として店頭に売られるまでを描いたものがたりだ。

そして、とてもおもしろいのが、本書は本を書きあげる作家にフォーカスしたストーリーではなく、本を印刷する会社ではたらくひとたちが主人公だということ。

本が好きなひとなら分かってもらえるとおもうんだけど、ぼくたち本好きは、物語の主人公がどんな思いであのセリフをいったのか、

また、作者はどのような気持ちでこれらを伝えたのかということについて考えるのが大好きだ。

つまり、作者の思考や想いについて想像することが、ひとつのクセみたいものなのだ。

そして、それはいい本であればあるほどそうで、いい本であればあるほど、ぼくたちは作者の書きのこしたものに感動し、感謝する。

しかし、その行為がその本をつくりあげた裏方さんにまで届いていたかと聞かれると、こたえはNOだ。

しいていえば編集者のことについて考えるは無きにしも非ず、といった感じだ。さいきんの編集者は露出もおおく、そのあたりまでは感知することができる場合もあったりする。

だがそこからの作業をこなす、印刷屋さんや製本屋さんにまで想いを馳せる、ということはなかったというのが、正直なところだ。

そして、それがどれほど失礼なことだったのか、という思いが本書を読みおえてまっさきに感じた感想だ。

 

ほんをつくる。

それは、ほとんどの場合、並々ならぬ力が集結してつくられている。

本を書く作家はもちろん、専門知識が必要なテーマの本なら、それらの知識を与える人たちがいる。

また、さきほども述べた編集者のひとや、誤字脱字をしらべる校閲のひとがいる。表紙をデザインするひとがいて、それを印刷するひとがいる。

印刷されたものを形ある本にするひとがいて、本屋さんに運ぶひとがいて、それらを自分の会社でやらせてくれという営業マンがいて、そして、本を売るひとがいる。

今かんたんに考えただけでも、これほどまでのひとたちの関わりを経て、本は店頭にならぶ。

さらに、どの工程のひとたちをとっても、その仕事を支える家族や仲間がいるのだから、そう考えると、ひとつの本ができあがるまでには計り知れないほどの力が合わさっているのだなと。

そのことに、そのなかにあるストーリーに、こころを震わせずにはいられなかった。

本が好きな人なら特に、だとおもう。

 

また、これは本だけじゃなく、どんなものでも同じことがいえるなと感じた。

ぼくたちが毎日あたりまえのように食べているお米も、あたりまえのように歩いている通勤路も、

あたりまえのように平和に暮らしているこの国も、ひとりひとりの力が合わさり、繋がり、今を生きるぼくたちの目のまえにある。

物事のひとつひとつの裏には、壮大な数の力や想いがある。そんなことを教えてくれたのが、本書、本のエンドロールでした。

 

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ひとは、なぜ働くのか

本書を読んだなかで、もうひとつ感想がある。

それは、なぜ人は働くのか?という問いに対して感じたものだ。

本書は、人の働き方が大きなテーマのひとつにもなっている。

本のエンドロールの第1の主人公は、仕事に夢や理想を持ちたがる人物だ。その一方で、仕事はただお金を稼ぐための行為だと割り切るもうひとりの主人公といっても過言ではない人物がいる。

とても対照的なふたりは、働くことの価値観、お互いの仕事ぶりについて、いくどとなくぶつかりあうのだが、

最終的には認め合い、ふたりのなかでひとつの結論がみちびきだされる。それは、自分が楽しむために、人生を充実させるために、ひとは働く、というもの。

この意見にはぼくも大賛成だった。もちろんそれが理想であり、自分の働き方が今現在そうなのかということは別にして。

極論、ひとは何をしても自分の心しか見ることができない。誰かのためにと頑張ったところで、それが本当に誰かのためになっているのか、それは、自分ではない誰かにしか分からないのだ。

 

であるなら、
自分のために、働き、生きる。

そして、それが結果的に誰かのためとなる。働くだけじゃなく、生きることだって、それでいいのではないか。

そのことを本のエンドロールには、再度考えさせられました。

 

おわりに。

本が好きな人には文句なくオススメの本だ。

また、本がどのようにして作られているのかに興味があるなら、本書はとても楽しく読めるほんとなるだろう。

ちなみに、本書がどうやってつくられたのかを編集した動画がYouTubeにアップされているので、参考までに、ここにはりつけておきます。

本のエンドロールができるまで【動画】

 

ほんをよむひとがドンドン減っていくなか、また、書籍の電子化がすすみ、ますます紙の本の需要が減る昨今、それらを覆すような明るい未来やアイデアがあるのか、正直いまのぼくにはさっぱり分からない。

しかし、そんな見通しの暗いといわれる業界で、いまこの瞬間も奮闘し、より良い本を作ろうと懸命に働くひとがいることは、間違いのない事実。

そのことに、僕たちはもっと感謝しなければならない。そして、できることなら、自分たちも何か協力しなければならない。

 

本が好きなら、本を残したいなら、ね。

 

ホント、本好きにはぴったりの本でした。

率直に、読んでよかったです。

 

 

 

読書が愛人。

 

 

 

 

 

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