読書は、人生を変える。~ぼくが読書が愛人になったキッカケ~

 

 

「大当たり~!」

ぼくの隣にあるパチンコ台が、辺りにいる全てのひとに聞こえるよう大声で叫ぶ。

さきほどまでは台をバシバシと叩き、震えるほど苛立っていたじいさんも、その一言をキッカケに今ではこの上ない笑みを浮かべタバコをふかしてた。

自分の財布に目を落とす。

どんなに中身を確認しても、お金はない。

その日のぼくも、いつも通り、また負けたのだった。

タバコのけむりが毒霧のように舞う店内を抜け出し、店先にある自転車置き場へむかう。玄関ホールをでると、あたりはすっかり暗くなっていた。

下品にギラつくネオンが光るこの店に、自分はいったいどれほどのお金を費やしたのだろう。

そんなことを考えながら自転車にまたがり、タバコに火をつけた。

「ビールでも買って帰ろう」

こころでそうつぶやき、これでもかとタバコのフィルターを吸い込んでは真上に吐き出す。

煙が夜空に溶けるのをまたず、ぼくはペダルを踏んだ。

コンビニにつくとまず向かうのがマンガコーナーだ。自分が読んでいるマンガの新刊がでていないかを確認するためだ。

そこに「ワンピース」や「進撃の巨人」が並べられているときは、どんなに気分が暗くても、生気が蘇ったかのように興奮する。

だが、あいにくこの日はワンピースも進撃の巨人もなかった。音が出るか出ないかほどの舌打ちをしながら、ふと、何の気なしにマンガコーナーの横にある本棚に目を向けた。

コンビニだというのに、そこにはたくさんの小説やビジネス書が置かれてた。

平済みしてあった一冊の本が気になり、手にとってみる。

白衣に見えるほど大きな白いシャツを着た男が腰を下ろし、コンパクトミラーのようなものを見つめては、ほんの少しだけはにかんでいるような絵が表紙に描かれているその本には、

゛西野亮廣著、魔法のコンパスー道なき道の歩き方゛と書かれていた。

4,5年前(25歳くらい)にオヤジのすすめで読んだ司馬遼太郎の「竜馬がゆく」を読んでいらい、ぼくは全くといっていいほど本を読んでいない。

ましてやビジネス書なんて、生きてるなかで一度も読んだことがない。

だけども、西野亮廣さんなら知っている。キングコングというコンビでお笑い芸人をしているひとだ。

ぼくはバラエティーやお笑い番組が好きだ。だから、テレビで幾度となくみたキングコングの漫才は、知ってるどころか大好きな部類に入っていたし、そのどれもが面白かったと記憶している。

そんな人の書いた本とは、どんなものなのか?

「…一度読んでみるか」

そそられたというよりは、興味本位に近かったとおもう。それに、面白くなければ即売ればいい。

そんなことを考えながら、僕はビールとからあげクンのアテに本を買い、コンビニをあとにした。

 

「おかえりー」

家に帰るとすでに子どもたちは寝ていた。起きていたのは妻で、今日の晩御飯で使われたであろう食器をわしゃわしゃと洗いながら、ぼくに言った。

「…ただいま」

ぼくの声のテンションから、また今日も負けたなと妻は察したのだろう。そこから会話がつづくことはなかった。

きっと、心中は「いい加減お金の無駄遣いはやめろ!」と言いたいことだろう。

しかし、そんなことを言われてもぼくの機嫌が良くなることはない。むしろ、とことん悪くなるのを妻は知っている。

だから、その一言につづくコトバを発することなく、妻はお皿洗いをつづけていた。

そんな妻を横目に、ぼくはリビングのソファに向かい、この世の不幸を全て凝縮させたかのようなおおきなため息をつき、ゆっくりと座る。

缶ビールのプルトップをはじき、喉が炭酸のシュワシュワに耐えきれなくなるまでぐいぐいと呑む。

ぷはぁ〜と、一息つく。

パチンコに負けようが、気分が最悪だろうが、ビールだけはどんなときも変わることなく、うまい。そのことに、また今日もすこしだけ救われた気がした。

からあげクンをつまみながらさきほど買った本をめくってみる。あたりまえだが、そこには大量の文字が印刷されていた。

普段マンガしか読まないぼくにとって、それはあまりに難易度の高いものに見えた。

しかし、ぽつぽつと読み進めてみると、案外、するすると読めた。むしろとても面白く、ぐいぐいと本の世界に引き込まれる。食わず嫌いとはこのことかと思いながら、ビールを呑むことも忘れ、どんどんページをめくった。

 

一気に読み終え、本を閉じたころには夜中も0時をまわり、日付が変わっていた。

読書って、ビジネス書って、思いのほか面白いんだな。

これが読みおえたあとの率直な感想だ。

「なるほど」「そんな考え方があるのか」と、自分の知らないことに終始驚かされる読書は、じぶんが思っていた以上に心地の良い時間だった。

機会があれば、また、読んでみるか。

そんなことを考えながら、家族がふとんの上で川の字に並んでいる列の端にじぶんも並び、この日は眠りについた。

 

 

数日たったある日、午前の仕事がひと段落したところでぼくは大阪アメリカ村付近をぶらついていた。

ガチャガチャとしたうるさい街だけど、いつも活気があるこの街がぼくは好きだ。

さて、昼メシは何を食べよう?

適当に歩きながら道端におかれている看板を見渡す。この街はお店の看板ですらガチャガチャしていてうるさい。そんななか、シンプルで落ち着いた感じの看板に目がとまる。

そこには、「STANDARD BOOK STORE」と書かれていた。

本屋さんかな?

あたまでそうおもいながら辺りをみわたしてみる。

お店はビルの地下一階にあり、目のまえの階段から降りることができるみたいだ。

ぼくはそのとき、このまえ読んだ魔法のコンパスのことを思いだした。

正直、何が書かれてあったのかは詳しくおもいだせない。しかし、漠然とではあるが、面白かったという記憶がある。

あんな本が他にもあるのかな?

そんなことを期待せずともすこしの期待をもちながら、ぼくは階段を降りてみることにした。

 

店内は思っていた以上に広かった。また、本だけでなく、いろいろな小物や服も売っている。さらに、買った本はこちらでお読みくださいと言わんばかりにカフェスペースも用意されていた。

これと言ってほしい本などなかったぼくは、店内を不規則にまわった。改めて見回すと、ホントにたくさんの本がある。

「本屋ですが、ベストセラーはおいてません。」

というお店の張り紙をみては「いや置いとけよ!」と何のひねりもないツッコミを心でつぶやきながら、ぐるぐると辺りを探検した。

そんななか、一冊の本が目線にはいり、ぼくの足は止まる。本棚と本棚の迷路をくぐり抜け、はじめに手に取った本。

それは、「藤原和博の必ず食える1%の人になる方法」という本だ。

なぜぼくがこの本に興味をもったのか。

このまえ読んだキングコング西野さんの著書・魔法のコンパスに、バチクソ面白いから読んだ方がいい!と書かれていたからだ。

ただそれだけの理由で手に取った本が、ぼくにとって人生を大きく変えることになる。

まあ、このときのぼくはそんなことを1ミリも思っていなかったのだけど…

 

本の代金を支払い、地下から地上にあがる。「お上品」というコトバなんて俺の辞書にはないと言わんばかりに賑わったアメリカ村を後にし、パーキングに止めてあった車に乗り込む。

仕事に戻ろうと車を走らせ、二つ三つ信号にひっかかったとき、ぼくは一言つぶやいた。昼飯を食い損ねたな。

 

仕事もはやばやにすませ、家にかえり早速本を開く。

このときのぼくは魔法のコンパスが面白かった件もあり、いささか興奮していた。

はやる気持ちをどうにかなだめつつ、1行1行ゆっくりと読みすすめる。

…が、さきほどまでじぶんのなかにあった明るい気持ちはページをめくるたび、暗いものになっていった。ちょうどカラオケ店にある、くるくるとつまみをまわして明かりを調節する照明のように。

そして、読みすすめること数ページ。時間にしてものの10分くらい。

右手の人差し指と親指で紙をつまみ、おそるおそるめくった次のページには、ぼくにとって衝撃すぎることが書かれていた。

1%の食える人になるための条件1、その最低条件は「パチンコを辞めること」だと。

 

反射的に怒りが込み上げてきたのは言うまでもない。だって、ぼくはいままさに挙げられたパチンコ野郎なのだから。

なぜ、そんなことを見ず知らずのあんたに言われなければならない。こっちはがんばって働いた分のストレスを解消しているだけだ。それの何が悪い!

と、この本を自主的に買ったのは自分だということも忘れ、あたまのなかで怒っていた。

そして、その先に書かれていた第2の条件を見たぼくの怒りは、さらにヒートアップする。

 

条件2:ケータイゲームを電車の中で日常的にしない

 

いやいや、さっきも言ったけどおれは汗水流し、まいにち働いているんだ。それを自分が息抜きにしているものまで取り上げて、お前はいったい何様だ!

俺のことを何だと思ってやがる!!ばか野郎が!!

心のなかで叫ぶことができる最大のボリュームでぼくは言った。

いっそのことこの本を燃やしてしまおうかとおもったほど怒りは最高潮を迎えるなか、かろうじて再び本に顏をむける。

そこには、ぼくにとってはとてつもなく冷酷で、自尊心を一瞬でズタボロにする暗黒の魔法ともいえる呪文のようなコトバが無感情に並べられていた。

 

ギャンブル依存症の人は、支配層の術中にはまって、知らず知らずのうちに憂さ晴らしをさせられ、安月給でこき使われてしまうわけですが、同じようにケータイゲーム依存症の人も、携帯電話やゲーム会社、マーケッターの術中にはまって自分をコントロールできなくなっています。つまり、どちらもメディアを主体的に使いこなすことができない。それどころか、メディアに使われてしまっている自分を自覚さえできていないことが問題です。

 

 

あてどない怒りはこのとき、頂点を通りこえ、笑いに変わった。ひとは、ここまで綺麗に自分を否定されると、笑みがこみ上げることをこのときはじめて知った。

事実を正しく伝えるその文章に、図星すぎるコトバに、ぼくになすすべなんてあるはずもなかった。

 

1ラウンド目からタコ殴りにされ、すでに心身ともにノックアウト寸前。意識は朦朧のなか、今にも天国に上ってしまいしまいそうなぼくは次の条件3をかろうじて目で追うことに成功する。

そこにはこう書かれていた。

条件1、条件2で手に入れた時間を、まずは読書に投資しよう。

 

このときより、ぼくは読書を習慣にすることを決め、パチンコと携帯ゲームを辞めた。

今にして思えば、このときのぼくはパチンコにハマっていたというより、パチンコからぬけだすことが出来なかった、が正しい。

きっと、おおくのギャンブラーもそうだろう。

パチンコに行く理由を考えては言いわけをくりかえし、お金をどぶに捨てる。そんな行為に正当性などない。

何よりパチンコを辞めて後悔したひとの話を、ぼくはいまだかつて聞いたことがない。

それは、携帯ゲームも、同じで。

 

 

以上、これがぼくの人生を大きく変えたお話。

「読書が愛人」が産まれる、すべてのキッカケになった物語です。

どんなにクソ野郎でも、どんなに世界をひねくれた目で眺めていようとも、

人生は、自分しだいで変えることができる。

そんなことを少しでも感じてくれれば幸いです。

また、これがあなたの読書するキッカケになってくれれば、それに勝る喜びはない。

 

わたしたちの人生に、もっと読書を。

読書がどれほど人生を前向きに、人生を充実したものにしてくれるか。

そのことを伝えるべく、これからもぼくは、読書の良さを伝えつづけたいとおもいます。

 

 

 

 

 

ちなみに条件4からが気になる方は本書をぜひ読んでほしい。

自信をもってオススメする良書です👇

 

また、今回登場したSTANDARD BOOK STORE心斎橋店は残念ながら平和最後の四月に閉店してしまった。

思い出に、写真だけのせておきます。どうもありがとう👇

 

 

 

 

 

その後の活動なんかはこっち👇
読書が愛人会【第一話】

【読書が愛人会】大阪心斎橋で読書会を開催するぞ!!

 

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